ただいまー。
ドアを開け、家の中に入ってみると。
そこには、皆で楽しくクリスマスを過ごしたであろう残り香がした。
いつもと少し違う家の中。
沢山の空き缶、洗われて流しの隅っこによりかかる鍋。
冷蔵庫には残った長ネギとお鍋で使ったであろう卵が数個。
クリスマスパティーね。
エアコンのリモコンを覗くと、室温は9度。
そりゃあ、寒くて帰るわな。つけりゃ良かったのに、エアコン。
枕の上に置かれた蒸気でアイマスク。
そうね、目は大事にしないとね。
更に目線を先に向けると、テーブルの上には何枚かのメッセージらしき紙や様々な差し入れ。
俺、入院中の患者みたいだな。
換気扇の下に腰掛け、おそらく炒飯であろう残り物をレンジで温めながら、テーブルを遠目に見て思わず笑う。
お供え物みたい。
おそらく炒飯であろうご飯を食べながら、ふと気付く。
テーブルの上に置かれたビニール袋を被せられた存在に。
ビニール袋を被せられていた物。
おそらくホール型であったと思われる、ショートケーキ。
ちょこんと乗っかったイチゴ。
・・・クリスマスね。
おそらく炒飯をたいらげ、ケーキを一口。
メッセージを読みながら、思わずニヤリ。
また26日の忘年会で。
と書こうとしたのだろうか、日にちを25と間違えた人と27と間違えた人がいて、
それを上からなんとか26に見せかけようと頑張った痕跡。
更にケーキを一口。
皆の顔がふと浮かぶ。
ケーキをたいらげ、煙草に着火。
改めてメッセージを読む。
自分の体調を気遣ってくれている言葉の数々。
・・・なんかいいな、こーゆうのも。
うん。
今日も一日頑張りますかー。
なんて呟きながら布団に入る。
おやすみー皆ー。
すると、MP3プレーヤーのスピーカーから偶然にも流れたクリスマスソング。
ふっ。なるほどね。
一人笑いながら目を閉じる。
素敵な一年になりますよーに。
メリークリスマス!!!
ってね。
皆様、良いお年をお迎え下さい。
―鷲尾直人―